国家公務員 刑務官採用試験とはなんぞや

いつも当ブログをご覧頂きありがとうございます。

 

今日は題名にある通り「刑務官」について解説します。

警察官、消防官自衛官という名はよく世に知られているので、この3つの職業を知らない人はいないと言っても過言ではないと思います。

一方で刑務官はどうでしょうか。あまり知名度もなく、知らない人も多いのではないでしょうか。今回はそんな刑務官がテーマです。

 

まず、刑務官とはなんぞやというところですが、法務省から引用しました。

刑務官は,国民生活の基盤である治安を支え,罪を犯した者を更生に導くことにより再犯を防止し,もって安心・安全な社会を築くという使命を果たす国家公務員です。

 

次に、刑務官採用試験の内容ですが、刑務官は旧3種、つまり高校卒程度試験になります。警察官などでは、大学卒業程度試験及び高校卒業程度試験がありますが、刑務官は高校卒業程度試験しかありません。

 

それでは、詳細を見てみましょう。

 

◇試験種目・試験の方法◇

第 1 次 試 験
基礎能力試験 (多肢選択式)
40題 1時間30分

公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験

出題数は40題

知能分野 20題(文章理解7、課題処理7、数的処理4、資料解釈2)

知識分野 20題(自然科学5、人文科学9、社会科学6)


作文試験
1題 50分
文章による表現力、課題に対する理解力などについての筆記試験


実技試験
(刑務A(武道)・刑 務B(武道)のみ)
(注4)
柔道又は剣道の実技に関する試験

 

第 2 次 試 験
人物試験
人柄、対人的能力などについての個別面接

 

身体検査
主として胸部疾患(胸部エックス線撮影を含む。)、血圧、尿、その他 一般内科系検査
身体測定


視力についての測定
体力検査
(刑務A(武道)・刑 務B(武道)を除く)

立ち幅跳び、反復横跳び上体起こしによる身体の筋持久力等についての検査

◎体力検査の内容
基準に達しないものが一つでもある場合は、体力検査で不合格となります。

立ち幅跳び(瞬発力) ... 立位姿勢から両足踏み切りで前方にどれだけ跳躍することができるかを検査します。 男子205cm以上、女子147cm以上を基準とします。

反復横跳び(敏しょう性)... 100cm間隔に引かれた3本のライン上で、20秒間のうちに何回サイドステップすることが できるかを検査します。男子44回以上、女子37回以上を基準とします。 上体起こし(筋持久力) ... ひざを曲げ、あおむきに寝た姿勢から、30秒間のうちに何回上体を起こすことができるか を検査します。男子21回以上、女子13回以上を基準とします。

以上が人事院より引用です。

 

刑務官は公安職なので体力試験が課されるというところが特徴でしょう。

身を挺して職務を遂行すべき場面もあります。そのため、公安職(一)という俸給表が使われて、給与が支払われます。

 

そして、もう一つ大きな特徴があります。

武道選考があるということです。柔道、剣道に自信がある人材を求めています。危険を伴う公安職ならではの採用です。

ただし、武道選考も教養試験はありますので、しっかりと勉強をする必要があります。

 

刑務官になるための方法はわかりましたね。

 

それでは、刑務官の職務内容を法務省から引用します。

 

◆ 仕事の内容
 被収容者が逃走し,社会不安を招くような事態があってはならず,刑務官の職務において守らなければならない法令・規則は多く,基本に忠実な勤務が求められます。
 また,被収容者を前にして毅然とした態度を取ることを求められ,緊張感が伴う仕事といえますが,組織として一致団結して対応に当たり,経験の浅い職員に対しても,上司や先輩職員がしっかりとフォローする体制が整っています。
 一方、被収容者には,刑事施設に収容されるに至ったそれぞれの事情があります。
 刑務官は日常生活上の指導に当たって,それぞれの事情を踏まえ,「ひとりの人間」として被収容者に向き合い,厳しさの中にも優しさをもって接しています。
 刑務官は被収容者にとって,いつしか社会人としての模範となり,彼らを更生に導く役割を担っています。採用されてから経験を積む必要がありますが,人と関わる仕事を通じて,人が変わっていく姿を実感でき,自らも成長していけることは,他の職業にはない刑務官の仕事の大きな魅力といえます。


◆ 採用されたら
 刑務官として採用されると,矯正研修所,矯正研修所支所及び採用庁で実施される初等科研修に参加し,刑務官として基本的な職務常識や法令の知識を身に付けるとともに,矯正護身術の習得等を行います。
 初等科研修を修了すると,一般的には採用庁において昼夜勤班の所属となり,居室棟の巡回を主とする夜間勤務に従事しつつ,昼間勤務においては,被収容者の連行や運動立会といった業務に始まり,工場や居室棟の勤務といった被収容者との関与の度合いの大きな業務に従事するようになります。また,各刑事施設の道場で実施される柔道又は剣道の訓練に参加し,心身を鍛えます。
 刑務官としての基本的な勤務知識を習得した段階においては,各人の希望や資質,能力に応じて,工場や居室棟の担当を始め処遇全般に携わる仕事(処遇部門)に従事する者,受刑者の改善指導や出所後の帰住や就労等の調整に関わる仕事(教育,分類)に従事する者,刑事施設の運営を支える事務系の仕事(庶務,用度,会計)に従事する者,幹部職員への登用を目指し,研修所への入所試験を受験する者など,多様なキャリアパスが用意されています。
 また,海外への留学や在外研究員としての派遣,海外の大使館・領事館での勤務,東日本成人矯正医療センターに設置された准看護師養成所への入所(刑務官として勤務しつつ准看護師の資格を取得でき,資格取得後は被収容者の医療業務に従事します。)などといった道も開かれています。

 

◆ 給与・諸手当
 刑務官には,一般の国家公務員に適用される行政職俸給表(一)に比べて12%程度給与水準の高い公安職俸給表(一)(令和元年4月1日現在,1級3号俸が適用され,東京都特別区内に勤務する場合の初任給の例は,205,440円)が適用されます。
 このほかに,各種手当(扶養手当,住居手当,通勤手当,期末・勤勉手当,超過勤務手当等)が支給されます。

 

◆ 勤務時間・休暇・休業
 1週当たりの勤務時間は,38時間45分(週休2日制)です。
 休暇制度としては,年次休暇(年間20日間)のほかに病気休暇,特別休暇(夏季休暇,結婚・出産に伴う休暇等)及び介護休暇の制度が設けられています。
 また、ワークライフバランス推進のため、育児休業取得の促進も積極的に行われています。

 

◆ その他(勤務地,制服,宿舎)
 勤務地については,本人の希望を考慮して決定しており,原則として採用庁を所管する矯正管区の管轄地域内で異動します。
 制服が定期的に貸与されます。
 宿舎は,勤務庁の近隣に設けられており,公安職俸給表適用職員としての特例により,宿舎費は原則として無料となります。

 

◆ 研修・昇進
 刑務官の階級は,看守,看守部長,副看守長,看守長,矯正副長,矯正長及び矯正監となっており,初等科研修のみを修了した場合は副看守長(主任,係長)までの昇進が可能です。
 競争試験により上位の研修に入所することにより,中等科研修を修了した場合は矯正副長(課長,部長)まで,高等科研修を終了した場合は矯正監(大規模施設の所長)へと,上級幹部へ昇進する道も開かれています。
 なお,順調に昇進した場合,採用後おおむね14年で看守長に昇進し,最終的には,大規模施設の所長を経て,矯正管区長(指定職俸給表を適用)に昇進することも可能です。

 

◆ 福利・厚生
 国家公務員は,国家公務員共済組合に加入することとなり,組合員として,病気,負傷,出産等に関連した各種の給付を受けることができます。また,退職,高度障害,死亡の場合には,年金制度の適用を受けることができます。
 その他,疾病の予防と人間ドック受検,臨時の出費等に対する資金の貸付け,貯金及び保険事業など組合員とその家族の方々が健康で明るい豊かな生活ができるよう,様々な制度・事業があります。
 また,各施設では,野球,ジョギング,スキー,サッカー等のクラブ活動が活発に行われています。

 

どうでしょうか。当ブログを読む前は刑務官という職業を知らなかった人も刑務官について理解できたと思います。

ただ、先程法務省より引用した文章は「広報用」です。つまり、刑務官に興味を持って欲しい人材を募集するためのものです。明暗の「明」の部分しか書かれていません。

 

意味深な終わり方をしますが、次回は刑務官についてもっと深掘りしていきます。

今回も読んでくださいましてありがとうございました。